京都国立博物館(京都市東山区)で12月5日、日本の桃山時代から江戸時代にかけて日本画をけん引した狩野派の新発見2作品を含む4点が「桃山時代の狩野派-永徳の後継者たち-」展に先駆けて報道陣に公開された。
狩野派には珍しい色っぽいシーンが描かれた「北野社頭遊楽図屏風」
公開された作品の中でも、注目を集めたのが「槇(まき)に白鷺図屏風」。狩野永徳の門人で、京都狩野派を束ねた狩野山楽の筆。個人所有のため、これまで美術館で展示されたことが無かった。元は、ふすま絵として使われていたようで、中央には引き手の跡がある。マキの木が画面からはみ出すほど力強く描かれており、その奥にはヒノキの木が描かれている。印章や落款は無いが、びょうぶ裏側に作品名と山楽の裏書きがあったこと、サギの造形や、巨木の陰影の付け方などから山楽のものだと結論づけた。
同企画学芸員の山本英男さんは、狩野永徳の金碧(きんぺき=背景に金箔を張りめぐらせている画)大画(たいが=モチーフが巨大化し、荒々しい画風)作を含めても10点程度であることを引き合いに、「まさに奇跡に近い」と興奮を隠さない。
もう一点は、「北野社頭遊楽図屏風」。北野天満宮とその前で開かれた酒宴の様子を描く風俗画。楽器の演奏や舞を楽しむ人や、料理を作る姿など生き生きと描き出す。狩野派としては珍しく、肩に手を置いて言い寄る男性の姿など「色っぽい」場面が描かれている。また、野外ではあるものの、びょうぶの前の宴が描かれる「室内遊楽図」の先触れといってよい作品という。
展示は4月7日から。