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京都市美術館でバルテュス展-日本初公開「地中海の猫」「夢見るテレーズ」も

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 京都市美術館(京都市東山区勝寺町)で現在、「バルテュス展」が行われている。

「美しい日々」を鑑賞する節子夫人と中村玉緒さん

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 同館では30年前にも、バルテュス本人のプロデュースによって展示を行っており、今回の展示では、バルテュスの作品を4つの時期に分けて紹介。日本初公開の「地中海の猫」「夢見るテレーズ」なども展示する。最後のセクションでは、日本が好きだったバルテュスの着物なども展示。初日に同館を訪れた節子夫人が、「本当にそのままで驚いた」とコメントするほどに再現されたバルテュスのアトリエも見ることができる。

 会場の入り口には、バルテュスが11歳の時、母親の恋人であった詩人リルケの勧めで出版した「ミツ」を展示。「ミツ」と名付けた猫の出合いと別れが版画風のタッチで描かれている。猫はバルテュスの作品にしばしば登場するが、バルテュスの「分身」の意味合いを持つといわれている。

 同館学芸課長の尾崎眞人さんは、バルテュスのもう一つのモチーフ、「少女」を時期に分けて説明する。「夢見るテレーズ」(1938年)に象徴される無防備な姿は「変容を内在させる少女の発見」と捉える。戦中に描かれた「美しい日々」(1944~46年)では少女は覚醒しており、「生と死、秩序と混沌(こんとん)が交差する場」が描かれていると分析。

 アクロバティックな裸体をさらす「目ざめ(I)」(1955年)や、「決して来ない時」(1949年)に描かれる少女はすでに「変容の戸口」に立っていると説明。「バルテュスの中でも『少女』が少しずつ変わってきている。これらは全て少女の絶対的な美しさを持っており、このような発展が作家の再生に大きな意味合いを持つのではないか」と解説する。

 後期に描かれた「トランプ遊びをする人々」で見られるような歌舞伎の見えのような表情、何も物が描かれていない空間表現など、日本の浮世絵に影響を受けた作品も見どころの一つだという。

 尾崎さんはまた、前回の展示の開始直前にバルテュスが壁の色を塗り替えてほしいと依頼したエピソードも披露する。勝新太郎さんの映画ポスターを見て「一目ぼれ」し、勝さんと交流を深めたというバルテュス。同日、妻の中村玉緒さんも駆け付けて、2人でバルテュスの作品を鑑賞した。

 開館時間は9時~17時(入館は30分前まで)。月曜休館。入場料は、一般=1,500円、高大生=1,000円、小中生=500円。9月7日まで。

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