京都水族館(京都市下京区観喜寺町)で8月16日、解剖学者で昆虫にも詳しい養老孟司さんが講演を行った。
近年、ラオスに昆虫採集に出掛けることが増えたという養老さん。手配していた飛行機が天候のせいで事故を起こすなど「危ない橋を渡って来た」と話す。「最近はパソコンに慣れすぎたのか、『あらかじめ問題がどこにあるのか教えてもらえたらそれで大丈夫』と考えがち。自然は想定外のことが起こるのが当然なのにそれに対応できない人が増えていると指摘。「自然は想定ができない危険なもの。だからこそ面白い。それは人生においても同じ。結婚されている方は、その方と結婚するつもりでしたか?そうではないでしょう。だから僕は今でも退屈なんてしていません」と自らの人生を語った。
「子どもたちは、僕もそうだけど、川に連れて行けば勝手に生き物を探しに遊び出す。そこでそうした危険もひとりでにわかってくるもの。『川遊びから何を学ぶか』が説明できなければ学校の科目に入らないというのはおかしなこと」と指摘した。
講演後、「病気のリスクを避けるために遺伝子検査をして手術をすることについてはどう思うか」という質問も。「そのことがわかっているなら悩みます」と養老さん。「でも僕は検査しないようにしているのでわからない。そうすれば病院に行くこともない」と独自の考え方を披露した。
「ペットショップで希少な生物が売っているが飼ってもいいものか」という質問には、「生態がわかっている生き物については問題ない。むしろ心配なのは知らないうちに生き物が絶滅してしまっていること」と回答。「育てるのが上手な人にそうした希少な生き物の数を増やしてほしい」とも。
この日は夏休みということもあり、親子連れの姿も。養老さんの話しを聞きながらメモを取る人など熱心に耳を傾けていた。