京都市が進める京都会館(京都市左京区岡崎最勝寺町)の再整備についての意見交換会が2月23日、Social Kitchen(京都市上京区相国寺北門前町)で行われた。
京都を中心に舞台芸術に関わる橋本裕介さんが発起人の「2020年の京都の舞台芸術環境を考える会」が主催した同会。これまで勉強会を行ってきたが、今回は舞台関係者だけでなく関心のある人にも参加を呼びかけ、舞台芸術に関係する人に加え、建築家やメディア関係者などが参加した。
議題となる京都会館は1960(昭和35年)開館で昨年50周年を迎えた。京都府内で唯一の2,000人収容の第1ホールに第2ホール、会議棟で構成する。京都市は老朽化や耐震基準に適合させ、舞台機器の向上を目的として再整備を進め、早期のリニューアルオープンを予定し、1月からパブリックコメント(意見公募)を行っている。しかし京都市が今月7日にローム(右京区)に入札などの手続きを経ずにネーミングライツ(命名権)を売却したことで関係者や市議会などに波紋を呼んでいる。
橋本さんは、京都の舞台芸術の取り巻く環境を説明後、演出家や制作者などを含む検討委員会を組織する、第2ホールと会議場(小ホール)は舞台芸術に特化し、芸術的な観点からプロデュースを行い発信していく「創造する劇場」を目指すべきという提言案を披露・解説した。
参加者からは同会館でほとんど改修が行われなかったことなど運営に対する疑問やこれまでの経緯が不透明で情報公開が必要、など行政に対する要望が出たほか、「岡崎は5時で閉館してしまう施設ばかりの『昼の街』」という声も。「古い建築を残し生かしていくことが京都の文化では」など大幅改修に反対する意見も出た。
今後、舞台芸術に関心の薄い人や市とも広く話し合いの場を設ける機会を作ることが参加者の総意となった。橋本さんも市でこれまでどのような話し合いがあったのかなどを明らかにしてほしいという要望を盛り込んだ形での提言書を提出するという。
意見交換会はユーストリームでも配信された。会の様子は同会のブログでも確認できる。