京都芸術センター(京都市中京区室町通蛸薬師下ル、TEL 075-213-1000)で2月5日から、展覧会「公募 京都芸術センター2010」が始まる。
同展は、若い才能の発掘と支援を目的に同センターが開設当初より開催しているもの。同センターのギャラリー北・南の空間を活用した展示プランを募集し、毎年さまざまな分野の専門家が審査を行っている。
今回は、126件の応募案件の中から審査員の映画作家・河瀨直美さんにより選ばれた寺島みどりさんと森川穣さんが、それぞれのプランに基づく展覧会を開く。
寺島さんは「見えていた風景-記憶の森-」と題し、会期中に継続して公開制作を行い、寺島さんの記憶に蓄積された世界の断片を同センター・ギャラリー北の壁面に描き起こす。一方、人目に触れることのない場をあらわにする作品を制作してきた森川さんは「確かなこと」と題し、同センターの床下の土を同センター・ギャラリー南に移して来場者の目の前に提示して「確かなこと」を問いかける。
それぞれのプランについて、河瀨さんは「寺島さんの作品には鑑賞者との間に新しい関係が生まれる予感があり、森川さんには作者の中にあるスケール感の大きさを感じた」と評する。
寺島さんの作品について、同センター担当の清澤暁子さんは「作品が大きくとも小さくとも、必ず画面にある世界が映り込んでいる。色の重なりと筆使いが、四角く切り取られた画面上で絶妙に組み合わされて唯一の世界を持ち、それぞれが違った息づかいをしている。今回の展示で、ギャラリーの壁全体、縁のない画面に寺島さんが描くとき、そこにどんな世界が立ち上がるのかとても楽しみ」とその魅力を語る。
森川さんの作品については、「素材そのものの素朴さ・粗さと、作品の無機質さ、視覚的なスマートさという、相反する要素が反発しながら共存している。どちらの個性も強烈で、少しバランスを間違えれば作品として成立しないというぎりぎりのところで保たれている。素材に対する判断力とバランス感覚が魅力の一つ」とも。
会期中、河瀨さんと出展作家による「ギャラリー・トーク」(2月6日15時~)、寺島さんによるワークショップ「記憶の木をつくる」(11日13時~)、森川さんによるアトリエ訪問ツアー「雨の降るのを待て」(13日13時~)など、さまざまな関連イベントも予定。
開催時間は10時~20時。入場無料。今月24日まで。