如月社(京都市下京区烏丸通四条下ル)が運営するCOCON烏丸3階の京都シネマ(TEL 075-353-4723)は現在、アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」を上映している。
ワイダ監督は今年84歳。自身のテーマを追い続け、半世紀にわたり映画を撮り続けている巨匠の一人として映画ファンに知られている。「世代」(1954年)でデビューし、その後、「地下水道」(1956年)、「灰とダイヤモンド」(1958年)でカンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭で世界的な評価を得た監督。1987(昭和62)年には京都賞も受賞している。
来館者は50代以上が多いが、大学生など20代の姿も見られるという。上映後の来館者の様子について、「やはり何か思うところがあるという感じで皆さん出てこられる」と同館営業・宣伝の江田茂樹さん。中にはロビーに設置しているアンケート用紙にぎっしりと感想を書いて帰る姿もあったという。
歴史の分岐点となった出来事に鋭い視点で迫った作品を作り続けているワイダ監督の「大理石の男」(1977)、「鉄の男」(1981)は、「ポーランド現代史においても需要な映画だと思う」と同館代表の神谷雅子さん。同作品の映画化は「監督の父親が犠牲となった事件であり、執念の作品とも言える」と話す。「この作品が2007年のベルリン国際映画祭で上映されたというニュースを聞いた時から何とか上映したいと思っていた作品。幸い日本の配給会社が今までいろいろな作品で取引のあった会社だったのでいち早くオファーした」と上映の経緯を話す。
神谷さんは「期待通りの作品で、『歴史を伝えること』『歴史から逃げないこと』を常に問い続けているワイダ監督のこん身の作品であり、上映できたことを光栄に思う」とも。
上映は29日まで(30日以降は未定)。