京都精華大学(京都市左京区)と京都国際マンガミュージアム(中京区烏丸通御池上ル)は5月4日から、フランスの漫画家・メビウス(本名=ジャン・ジロー)さんの来日に合わせた講演会や企画展などのプログラム「メビウスの世界」を開催している。
メビウスさんは70歳になる現在も現役で活躍を続け、世界中のクリエーターに影響を与えている。日本では、宮崎駿さん、大友克洋さん、谷口ジローさん、松本大洋さんなどのクリエーターが敬意を捧げているという。その活動はマンガにとどまらず、「ブレードランナー」「エイリアン」「トロン」「フィフス・エレメント」などの映画作品ではコンセプチュアルデザインなどを担当した。
西洋美術史を専門とし、マンガや現代アート、フランス文化にも深い関心を持つ同校の島本浣学長が、フランス語圏を中心とするマンガの形式「バンド・デシネ」のフランス人編集者や原作者と交流を続ける中でメビウスさん招聘(しょうへい)の構想が生まれ、島本学長がフランスを訪れた際に直接メビウスさんに面会し、今回の来日が実現した。
同校担当者の石田涼さんは「フランスのマンガ『バンド・デシネ』界を代表する作家であるメビウスさんの作品は、1コマだけを取り上げても1枚の独立した作品として鑑賞できるくらい細密な線描と独自の色彩感覚を有し、これまでの日本の漫画にはない技法を用いている」と話す。
期間中、京都国際マンガミュージアムでは企画展「彼自身によるメビウス」を開催している。同展では、代表作「Arzach(アルザック)」を含むメビウスさん自ら選んだ複製原画64点を展示。さらに、メビウスさんがイラストレーター・村田蓮爾さんを相手に、作画を交えて「描くこと」について語るトーク・パフォーマンス「メビウス×村田蓮爾 線が語る」(同6日14時~16時、聴講無料・ミュージアム入場料は別途必要)も開催する。
京都精華大学では、メビウスさんに加えアニメーション監督・りんたろうさんやマンガ家・大友克洋さんらが出演する講演会「メビウスが語る、メビウスを語る」(同7日14時40分~17時40分、聴講無料)を開催する。
今回の企画について、「日本の漫画界、アニメーション界を代表する作家たちとメビウスさんが一堂に会して、公の場で話し合うかつてない機会」と石田さん。
企画展開催時間は10時~18時(最終入館は17時30分まで)。入場無料(ミュージアム入場料は別途必要)。水曜休館(6日開館、7日休館)。6月7日まで。