シャツ専門店「モリカゲシャツキョウト」(京都市上京区河原町通り丸太町上ル桝屋町、TEL 075-241-7746)で4月9日から、写真撮影イベント「りす写真館」が開催される。
雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士さんと写真家の伊東俊介さんが主催するが主催する同イベントは2007年から開催。京都ではモリカゲシャツのプロジェクト「ebebe(エベベ)」に共感し話が弾んだことから同店で行われるようになった。
「本来の写真のあり方」を見直すため、著名人のアルバムを集めた展示や、アルバムづくりワークショップを行う「アルバムエキスポ」も開催してきた。「写真が手軽に撮れるようになり、『いつかプリントしよう』とデータのままで、写真をアルバムに収めることも減ってきたが、写真が『もの』として残っていることが重要」と藤本さん。
イベントでは、写真家の伊東俊介さんが撮影する。できあがりはモノクロでサイズは、横約16.5センチ、縦約21.6センチ。約1カ月後にオリジナル台紙を付けて送る。「銀塩フィルムで撮る写真は100年もの年月に耐えるうえ、インクジェットでは表現できない美しさがある」という。「お願いしているプリント職人さんの技術は、需要が無ければが残っていかない」とも。
かつて取材で訪れた気仙沼や女川の状況を見て、「力になりたいと思ったものの、自分がすぐできることを見つけられず、自分の無力さを感じた」という藤本さん。しかし、被災した人が自宅に戻ってまず探したのが写真だったというニュースや、がれきを片付けるボランティアの人も写真を見つけたら持ち帰り、避難所に集めているということを知り、逆に勇気づけられたと話す。平成21年に台風による水害のあった兵庫県佐用町にある写真屋の店主が「今日写真を撮ることが写真文化ではなく、撮った写真が残っていたときに初めて写真文化になる」と話していたことを受け、「僕たちは今日や明日のためでなく、未来のために写真を撮るのだと気づかされた」とも。
イベントにはリピーターが多いという。その家族の変化を感じて「まるで自分が『親せきのおっちゃん』になったような感覚になる」という。「今回の震災で家族やそのありがたさについて多少なりとも感じた人は多いのでは。興味を持った人には、家族の今の姿を未来のために形として残してくれたら」
開催時間は11時~19時。料金は撮影・台紙・送料含め1万円。焼き増しも受け付ける。今月10日まで。