高級呉服、和装用品などの商品企画・開発を手がける啓明商事(京都市下京区仏光寺通烏丸西)は5月22日、黒谷金戒光明寺(左京区黒谷町)に小売店関係者らを招き12年目を迎える「上品展(じょうぼんてん)・幽玄の夕べ」を開催した。
同社は1894(明治27)年創業の和装ファッションの専門商社。もともと問屋業を営んでいた同社は小売店向けの展示会を行っていたが、和装の需要変化を受け12年間前から同イベントを開いている。「上品」とは仏教語で「最上級」を意味する。「良い演出の中で良いものを見てほしい」と同社の野瀬兼治郎社長。
過去には、アコーディオン奏者のCobaさん、二胡奏者のチェン・ミンさん、津軽三味線奏者の上妻宏光さんなどがコンサートを行った。「京都に来ていただき、普通の観光では味わえない体験をしてもらおう」と始めたもので、一般には公開しておらず200人のクローズドイベントとなる。
今年のテーマは「温故知新」。バンドネオン奏者の小松亮太さんを招き、約1時間のミニライブを行った。小松さんは「バンドネオンという楽器は、ドイツで生まれ、アルゼンチンで育ち、そして、今、金戒光明寺の本堂で、着物を着た方々の前で演奏するのは時空を超えてご縁を感じる」と話す。
小松さんの哀愁を帯びたタンゴの調べは聴く人すべての心を魅了した。野瀬社長は「一つひとつ手づくりの演出でおもてなしをし、着物とさまざまな文化を交えた発信をしていきたい」と話す。