文化庁主催の生活文化創造・戦略展開事業として、わが国のくらしの中に息づく伝統文化である「書道」と「和紙」を現代の思想・テクノロジーと交差させるエシカルな取り組み「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」が、東京都檜原村で実施され、東京・代官山と京都で巡回成果展を開催しています。先に開催されたTOKYOの「むら」にあたる檜原と「まち」である代官山での展開は、各地で大きな反響を呼びました。

檜原村にある国重要文化財小林家住宅で行われた書家の川邉りえこ講師による書塾の模様。(右上が川邉りえこ)
本プロジェクトは、「日本らしさ」を支えてきた書道や和紙といった暮らしの中での文化的いとなみを、
人間中心の超スマート社会(Society 5.0)においても持続可能な価値として進化させることを目的としています。

デジタル化が進み、「書く」という行為そのものが日常から減りつつある現代において書が担ってきた生活の美や身体性、思想としての価値を改めて問い直し、日本文化としての「書」を未来へとつなぐ新たな形を探りました。その方法として、江戸・東京と武州の山々を循環して成立してきた
書・紙・人のエコシステムに着想し、その循環が今なお息づく東京都檜原村を舞台に、
書を中心に「総体の美」を伝統から創造する書家の川邉りえこがクリエイティブディレクターとなり、生活の中での日本文化のトレンドリーダーであった文人の存在を今によみがえらせ結成した「現代文人五人」の書と和紙の創作を中心に、専門家・芸術家・工芸家・地域住民・次世代を担う子どもたちが共創する実践的な取り組みを展開しました。
国重要文化財「小林家住宅」等で村内各地でのエデュケーションプログラムや和紙の原料のある林に囲まれた百年民家のアートセンターである「アーツキャンプひのはら」での創作や展示を通じて、書と和紙を「つくる・学ぶ・体験する」文化の循環モデルを可視化。エシカルでサステナブルな日本文化のエコシステムを、書の分野から未来へ向けてアップデートする試みを行っています。
文化庁が主催する生活文化創造・戦略展開事業として、2025年11月下旬から12月にかけて、東京都檜原村の山の空間で、日本の伝統文化である「書道」と「和紙」を軸に据えた展示や創作体験を交えた文化体験型イベントが開催されました。本企画は、地域に根差した文化資源を現代的視点で再解釈し、未来へとつなぐことを目的とした、同時期に開催された5年目を迎える檜原村からあきる野市までを会場とした芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム」(主催:一般社団法人クリエイティブクラスター)のプラットフォームを活用したもので、自然環境と共鳴する空間の中で、書の素材性・身体性・空間性に着目した展示が展開されました。会期中には、鑑賞にとどまらず、実際に山にある原料の楮(こうぞ)から和紙をつくり、さまざまな場所とスタイルで体を動かしながら書を実践したり、これら山の環境から伝統と未来を考える対話を通じたプログラムも実施され、来場者が「書道」という文化を体験的に捉え直す場となりました。

アーツキャンプひのはらで展示した作品「神人共食 ヌル講の直会 計算機自然」と落合陽一。

山野草から紙をつくり書をしたためた檜原村でのプロジェクト。
都市型カルチャーの発信拠点である代官山では、檜原村で展開されたコンセプトを都市文脈で再編集した展示が行われ、会期初日には、プロジェクトに参加した「現代文人」五人の一人であるメディアアーティスト・落合陽一氏によるレクチャートークを実施いたしました。本プロジェクトでの創作経験をもとに、デジタルネイチャーの時代における「生活文化」と「書」の可能性について本プロジェクトのキュレーターである岡田智博と語り合い、書道という伝統表現がテクノロジー時代においてどのような未来を持ち得るのか、文化継承を「保存」ではなく「更新」として捉える重要性について語りました。

「人間が表現したいと思い続ける限り文化のかたちは続く」落合陽一によるレクチャートークの模様。
また、会場においては檜原村での取り組みにより生まれた、落合を含む「現代文人」たちの手による複数の書によるアート作品や川邉によるワークショップの成果作品の展示が行われ、「書」を文字表現にとどめず、空間・身体・素材・思想を横断する表現として再解釈する試みが展示されました。

川邉りえこほか4人の「現代文人」による「オオカミ」をモチーフにした檜原和紙による立体書作品

大きな特製檜原和紙に子どもたちと川邉りえこが「書塾」でしたためた成果作品
● 落合陽一による書作品および空間展示
メディアアーティスト・落合陽一氏が檜原村に滞在し、現地の自然環境や空気感と向き合いながら制作した書を中心とした作品を展示。山の伝統からインスパイアされた日本の文化における気配を未来にも継ぐ可能性を、AIを取り入れながら作品化、同じく檜原和紙にしたためた書とともに、檜原村で制作したAI生成の音環境による「気配」を創出した山間のタイムレスな空間展示を実施しました。 この作品のタイムレスな体験は檜原村でしか得られないため「アーカイブ」としての作品展示の実施でした(京都展も含む)。
● 檜原和紙を用いた現代文人による立体「書」作品
地域の伝統工芸である檜原和紙を素材に、書家の川邊りえこ氏をクリエイティブディレクターにし、詩人の三角みづ紀氏・マルチクリエーターのKiNG氏・13歳の舞台芸術家・高梨元秀氏といった現代文人が参加し、村の「オオカミ」伝承をモチーフに書が立体として立ち上がる作品群は、書の可読性を超えた物質性や存在感を強調し、和紙の新たな可能性を示しました。
● プロジェクト全体の背景と制作過程を紹介するドキュメンテーション映像
本プロジェクトの構想から制作、現地での試行錯誤までを記録した映像ドキュメンタリー作品を上映。文化庁主催事業として、どのような意図とプロセスで本企画が立ち上げられたのかを可視化し、来場者が理解を深める導線となりました。
● エデュケーションプログラム「書塾」の成果展示
和紙づくりから書表現までを一貫して体験する教育プログラム「書塾」を実施。
川邉りえこ氏主宰で行われた、このためにつくられた大きな檜原産和紙に子どもたちがしたためた成果作品も展示され、鑑賞と実践を往復するかたちで、書文化の継承と更新の可能性が示されました。

落合陽一「神人共食-ヌル講の直会-計算機自然」(アーカイブ展示)

プロジェクトのドキュメント映像には国内外を問わず多くの来場者が長く視聴した(映像制作:仲本 拡史)
- 「たくさんのかたちの字があって、自分も書道で書きたくなって、たのしかった」「かっこいい」(小学生)
- 「日本の自然や手仕事の環境から生まれる、紙、そして書の存在が美しかった。訪日する方々に(本プロジェクトのような環境を)触れてもらえたら素晴らしいことだろう」(富裕層向けガイド:イスラエル)
- 「私は伝統を現代的な作品にしている美術家だが、立体的な和紙のフォルムに書をしたためる表現は日本らしい美しさを表現していてとても参考になる」(美術家:韓国)
- 「自由な書の表現に、惹かれた、元気づけられた、書きたくなった」(20歳代から50歳代までの複数の女性や男性の方々から)
事業名:書道と和紙のプロジェクト in ひのはら
主催:文化庁
開催地:東京都檜原村/東京・代官山(渋谷区)/京都市
開催期間:檜原村|2025年11月下旬~12月中旬
【展覧会「現代文人五人展」】
代官山|2026年1月16日~18日 /
京都(梅小路公園)|2026年2月13日~15日
1月16日 代官山レクチャートーク登壇者
:落合陽一(メディアアーティスト) 岡田智博(キュレーター)
本事業の成果は、東京から京都へと巡回し、さらなる発信と普及を図ります。
本リリースで紹介した展覧会は、「現代文人五人展 京都展」として、東京・代官山と同内容・同作品構成のまま京都にて開催されます。生活文化としての書道振興モデルを地域間で共有することで、書道文化の社会実装に向けた取り組みを全国へと広げていきます。
会期・会場
梅小路公園 西側 緑の館
(京都府京都市下京区観喜寺町56)
2026年2月13日(金)10:00-17:00
2026年2月14日(土)10:00-17:00
2026年2月15日(日)10:00-16:30
京都展 お問い合わせ
書道と和紙のプロジェクト in ひのはら 事務局(京都)
TEL:075-253-0660(CDI内/月-金 10:00-17:00)
また、プロジェクトを通じて紡がれた、日本のくらしの文化におけるサステナブルな可能性をまとめたZINE
「Akigawa Ethical Creative Report」 をオンライン配布しています。

「特集:還るという美学 書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」として、本事業の背景、思想、実践内容を紹介しています。
配布URL:
https://artdemo.creativecluster.jp/zine/aec2025_zine.pdf
プロジェクト特設サイトからもダウンロード可能です。
https://shodobunka2025.creativecluster.jp/
さらに、本プロジェクトで得られた知見とノウハウは、檜原村を中心とする西多摩地域において継続的に活用されます。
「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」が展開された秋川流域では、2026年度に6年目を迎える芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム(https://artstream.tokyo/)」のコンテンツとして、本事業の成果が組み込まれ、持続的な展開が行われていく予定です。
2025年度には、本プロジェクトを含む40以上の文化コンテンツが、地域住民と芸術家、クリエーター、専門家といった「現代文人」との共創により創出されました。
「やま」と「まち」を循環する文化をつくるエデュケーションプログラムのノウハウや、文人とのネットワークを基盤に、山の紙づくりから表現へと向かうインスピレーション、世代をつなぐ書道の学びが、2026年度以降も新たな要素を加えながら展開されていきます。
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プロジェクト特設サイト「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」
https://shodobunka2025.creativecluster.jp/
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ZINE “Akigawa Ethical Creative Report”特集:還るという美学 書道と和紙のプロジェクト in ひのはら(PDF配布)
https://artdemo.creativecluster.jp/zine/aec2025_zine.pdf-
「つくる!あきがわアートストリーム」
https://artstream.tokyo/
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代官山 蔦屋書店T-SITE イベントページhttps://store.tsite.jp/daikanyama/event/t-site/52164-1802220110.html PR TIMES掲載(代官山イベント)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000030217.html
京都展 お問い合わせ先
書道と和紙のプロジェクト in ひのはら事務局(京都)
075-253-0660 (CDI 内) 月-金 10:00-17:00
檜原村・東京でのプロジェクトについて お問い合わせ先
書道と和紙のプロジェクト in ひのはら事務局(東京) 050-3117-5144
e-mail: shodo2025@artstream.tokyo