
Bioworks 株式会社(本社:京都府相楽郡、代表取締役社長 CEO:坂本孝治、以下「Bioworks」)は、東京都主催「社会課題解決型スタートアップ支援事業(Tokyo Co-inNovators)」のコンセプト検証支援を活用し、次世代合成繊維「PlaX(プラックス)」を使用した製品のケミカルリサイクル技術の確立と社会実装に向けて、使用済み靴下を対象とした回収・リサイクルの実証実験*1 を実施しました。
本リリースでは、当該実証実験の結果および、プロジェクト参加者を対象に実施したアンケート調査の結果について報告します。
*1 「Bioworks が、ケミカルリサイクルによる循環型ビジネスモデルの社会実装に向けた検証を開始」
繊維から繊維へのリサイクル率は世界全体で 1%未満*2 と、混紡素材でつくられることが多い衣類の資源循環は、社会実装までに多くの課題が残されています。
環境省の調べによると、衣類の中でも下着・靴下などのいわゆる消耗品は、1 年間で最も購入頻度が高く、かつ最も手放した数が多いカテゴリーに分類されています。*3
さらに、Bioworks が実施した調査*4 では、靴下・下着・肌着の手放し方のうち、リユース・リサイクルされているものはわずか約 1 割にとどまり、残り約 9 割は廃棄されていることが分かりました。
環境省の調査*5 によると、家庭から出る衣類全体では 66%が廃棄、34%がリユース・リサイクルされています。
これらを踏まえると、靴下・下着・肌着は、他の衣類に比べてリユースされにくく、廃棄されやすいカテゴリーであることが分かります。
本プロジェクトでは、製品寿命が短く、次の循環に繋がりにくい消耗品の代表である靴下に着目し、リサイクルのしやすさの設計が、循環性の向上につながると考え、「靴下」を検証材料として設定しました。
*2引用元:
ELLEN MACARTHUR FOUNDATION New Textile Economy : Redesigning fashion's future
*3 引用元:
環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務
*4 引用元:
靴下・下着・肌着のリユース・リサイクル動向と消費者意識調査
*5 引用元:
環境省 令和4年度 循環型ファッションの推進方策に関する調査業務
本プロジェクトでは 、株式会社グラックジャパン(本社:名古屋市中区、 取締役社長:由比康之)が運営する自社ブランド「TARROW TOKYO」と都内商業施設の2社協力のもと、PlaX を使用した靴下を消費者・事業者に配布し、一定期間ご使用いただいた上で回収。回収した靴下を用いたケミカルリサイクルの実証実験を行い、技術・コスト・環境負荷・ユーザビリティの観点から、新たな循環型ビジネスモデルの確立に向けて検証を行いました。

本実証実験では、汚れなどが付着した使用済み靴下であっても、ケミカルリサイクルにより原料であるポリ乳酸へ再生できるかを検証しました。
なお、本実証は靴下などの製品化までを行うものではなく、原料であるポリ乳酸の生成までを検証対象としています。
ケミカルリサイクルのプロセス検証は、ラボスケールからパイロットスケールまで段階的に実施。ラボスケールで最適条件を導き出したうえでパイロットスケールで検証した結果、いずれの段階においても高純度・高品質な再資源化素材(モノマー)が得られることを確認しました。さらに、その再資源化素材を用いて製造した PLA 樹脂は、通常品と同等の性能を示し、再利用が可能であることが実証されました。
一方で、分離工程における原料の収率や、事業化を見据えた際のコスト面については課題が明らかになりました。これらの課題に対しては、高混率製品の設計推進や PlaX の流通拡大を進めるとともに、今後も改善に向けた取り組みを強化してまいります。
また、想定される製造条件をもとに実施したLCA 分析(試算)の結果、リサイクル原料を使用した靴下は、バージン原料を使用した靴下と比較して、
約9%のCO2削減効果が見込まれることが分かりました。さらに、糸製造段階においては、リサイクル PlaX 短繊維が既存のPlaX 短繊維と比べて、
約80%のCO2排出量削減効果を有することも明らかになりました。こうした特性を踏まえ、PlaX の混率など製品設計を工夫することで、製品全体としてさらなる削減効果が期待されます。

本プロジェクトでは、ケミカルリサイクルの回収において「割にあわない」「面倒くさい」「次の人に使われることに抵抗がある」「他人に見られたくない」などの消費者の心理的な課題があると仮定し、課題解決に向けて施策を設定しました。それらの効果を検証するため、靴下回収後、プロジェクト参加者を対象に個別アンケート調査を実施しました。
その結果、汚れやにおいのついた靴下でもリサイクル回収において「不安や不快感を感じなかった」と回答した参加者が 70.8%に達し、回収に対する心理的な負荷が低いことが分かりました。さらに 70.8%の参加者が、「回収に手間を(あまり)感じなかった」と回答しました。
背景として、回収設計における以下の工夫が寄与したと考えられます。
・ポリ乳酸で作られた回収袋を配布:回収時に他人に見られたくないといった心理的負荷を軽減するため、事前にポリ乳酸で作られた回収袋を配布。参加者には使用した靴下を回収袋に入れて郵送、BOX 投函してもらい、そのまま開封することなくリサイクルする仕組みを採用しました。
・ポスト/回収 BOX 投函のみで完了する回収動線:参加者の負担を最小限に抑えるため、投函のみで回収が完了するシンプルな回収動線を設計しました。
あらかじめ郵送キットを配布し、自宅からポストへ投函する方法に加え、オフィスでは回収BOX を設置し、靴下を持参して投函するだけで回収が完了する仕組みを採用しました。
さらに、今後同様のリサイクルの仕組みがあれば「ぜひ利用したい」「機会があれば利用したい」と回答した参加者は合計 93.7%にのぼり、高い再利用意欲が示されました。

回収された靴下の購入意向については、「通常商品と同程度」「通常商品より安価」であれば購入したいと回答した人が計 87.5%を占めており、コストを市場ニーズに合わせることで、リサイクル製品としての受容性を高められる可能性が示されました。
一方で回収品目を「肌着」や「下着」に拡大した場合には参加意向が低下し、とくに「下着」では 29.2% が参加に消極的と回答しました。「靴下」に比べ、心理的な抵抗が大きいことが課題として浮き彫りになりました。

本実証で得られた消費者行動や心理的ハードルに関する知見をもとに、今後はパートナー企業と連携しながら、回収から再資源化までを見据えた持続可能なリサイクルモデルの構築を目指してまいります。
「PlaX」は、サトウキビなどの植物を原料とするバイオマス素材「ポリ乳酸(PLA)」に、当社が独自に開発した「植物由来の添加剤」を加えることで、品質と機能をアップデートした環境負荷低減に貢献する新素材です。
石油由来の合成繊維であるポリエステルなどの代替はもちろん、汎用性に優れた素材として世界的に注目を集めています。
《PlaX 繊維の特徴》
・ポリエステルと比較して、PlaX に置き換えることで、長繊維の製造にかかる CO2排出量を70%削減、短繊維(原綿)の製造にかかる CO2 排出量を50%削減。
・綿と比較して原料から糸製造時までの水使用量を92%削減。
・工業用コンポスト環境において、微生物によって水や CO2 に分解される「生分解性」の特性を持つ素材。
・廃棄物から同等の素材を再生産する「ケミカルリサイクル」と相性が良く、資源を循環させるクローズドループの実現に向けた研究開発が進む。
・焼却廃棄時のCO2排出量を削減。ダイオキシンなどの有害物質も発生しない。
・乳酸由来の抗菌効果によって、繊維上のモラクセラ菌や、黄色ブドウ球菌の繁殖を防ぎ、防臭効果にも寄与。
Bioworks は、「つくる喜びと、着る豊かさが続く、新たな生態系(エコシステム)」をビジョンに、ポリ乳酸を原料とする植物由来の次世代合成繊維「PlaX」の製造・販売を行うマテリアルクリエイションカンパニーです。
2015 年の創業以来、ポリ乳酸の研究開発で蓄積された知見をもとに、2021 年より繊維事業へと展開。ファッション業界における石油由来原料からの脱却の一翼を担う素材として、国内外の繊維企業やブランドから注目を集め、採用が始まっています。
■ Bioworks 株式会社
代表取締役社長 CEO:坂本孝治
本社:京都府相楽郡精華町光台 1-7 けいはんなプラザラボ棟 7F 設立:2015 年
事業内容:改質ポリ乳酸コンパウンド(PlaX)及び製品の製造、販売、資源循環を促進する事業等
■ Bioworks WEB:
https://www.bioworks.co.jp/
■ bio 公式 OnlineStore:
https://bio-plax.com/