稲盛財団(下京区烏丸通四条下ル)は、「稲盛財団記念館」を京都大学(左京区吉田本町)に寄付することを決定し、2月14日、稲盛和夫稲盛財団理事長と尾池和夫京都大学総長との間で調印式が行われた。
稲盛財団は、京セラ(伏見区)の創業者の稲盛和夫名誉会長が1984年に設立、以後、「京都賞」や「京都文化会議」などの社会啓発や助成事業を行っている。
記念館は、同大学の「東南アジア研究所」(左京区吉田下阿達町)がある敷地に建設され、周囲の環境との調和を考慮し、白とグレーを基調とした地上3階建て、全長は125メートルに及ぶ。地中熱を生かしたエネルギーを利用するなどエネルギー消費を3割削減できる、環境に配慮した省エネ設計が特徴。
外観は、鴨川から見ると比叡山の山並みに溶け込むという。設計を手掛ける日建設計の櫻井副社長は「(記念館は)『京都賞ライブラリー』など、学内関係者のみならず一般の方にも『京都大学』や『京都賞』の歴史に触れてもらえる場所になれば」と話している。
館内は、同財団が主催する「京都賞」のライブラリーが1階に入居するほか、2階と3階が研究施設になる。「地域研究統合情報センター」「こころの未来研究センター(仮称)」も新設されるほか、「アジア・アフリカ地域研究研究科」や、会議室なども併設される。
同大学「百周年時計台記念館」で行われた記者会見で稲盛理事長は「財団設立時から京大関係者にお世話になり、恩返しをしなければという思いがあった。新しい学問の構築として少しでも研究の協力ができれば」、井村裕夫同財団会長は「『京都賞』の理念と京大の『こころの未来研究センター(仮称)』の構想が一致した。新しい学問分野を開拓してほしい」、尾池同大学総長は「『学問の譜』を大切にしていただき大変ありがたい。のびのびと研究教育を行いたい」と話した。
着工は今年5月で、2008年夏の完成を目指す。