高級呉服、和装用品などの商品企画・開発を手がけ和文化を発信する啓明商事(京都市下京区仏光寺通烏丸西)は5月17日、黒谷金戒光明寺( 左京区黒谷町)に小売店関係者らを招き「上品展(じょうぼんてん)・幽玄の夕べ」を開催した。
同社は明治27年創業の和装ファッションの専門商社。「上品展」は、今年で10年目を迎える。もともと問屋業を営んでいた同社では小売店向けの展示会を行っていたが、和装の需要変化を受け同展を10年間前から企画。「京都に来ていただき、普通の観光では味わえない体験をしてもらおう」という思いから始めた。一般には公開しておらず200人のクローズドイベント。
2005年はアコーディオン奏者のCobaさんが清水寺で、2006年は二胡奏者のチェン・ミンさんが知恩院でコンサートを行ったことも。「上品(じょうぼん)」とは仏教語で「最上級」を意味する。「良い演出の中で良いものを見てほしい」と同社の野瀬兼治郎社長。
今年は、海外のミュージシャンとのセッションを積極的に行なう津軽三味線奏者・上妻宏光さんを招き、津軽じょんがらほか6曲を演奏した。上妻さんは「普段は洋服で演奏すること多いが、やはり京都で着物を着て、帯を締めて演奏すると、背筋がピンと伸びて、身が引き締まる思い」と話す。
天候に恵まれた当日、参加者は黒谷金戒光明寺から一望できる極上の京都夜景と、上妻宏光さんの卓越した技巧に酔いしれた。野瀬社長は「一つひとつ手づくりの演出でおもてなしをし、着物とさまざまな文化を交えた発信をしていきたい」と話す。