京友禅の技法を使ったデニムアイテムの製造・販売を行う「京都デニム」の社会人向けインターン・スクール「デニスク」で伝統技法を学ぶメンバーが現在、5月に渉成園で行う展示会「継承展」の準備を進めている。
京友禅の技法を使ったデニムアイテムの製造・販売を行う「京都デニム」(京都市下京区小稲荷町)が運営する「デニスク」では、昨年8月から職人の桑山豊章さんが講師となり、抜染(ばっせん・生地の色を抜くこと)や型染めの型彫り、浸染といった技法体験を提供している。
安田伸裕さんは「日常に伝統工芸を取り入れる」をテーマに自身の趣味のアウトドアで使えるラグやハンモック、テントを製作。植物のスケッチを元にデザインした型染めで模様を入れる。「展示では座ってもらえるようにしたい。本業は義足や義肢を製作しているが、ファッションのように楽しめるものを作れるよう、学んだことを生かしていきたい」と話す。
木佐貫麻理さんは人から譲ってもらったデニムを使い、法衣(ほうえ)に仕立てた。背には大樹の装飾、輪袈裟(わげさ)には古代から姿を変えていないオウムガイのデザイン、七条袈裟(しちじょうけさ)には花をデザインして型染めした。「長い時間を感じさせる好きなモチーフを散りばめた。渉成園は立派な会場なので工夫ができたら。希望する人には羽織ってもらえるようにしたい」と話す。
桑山豊章さんは「週1回の講座なので、技術的には伝えられる内容は少ないが、再現性のある工芸の考え方や、伝統工芸の職人がどんな見方をしているか、プロセスを伝えることも伝統工芸の継承につながると思っている。学んだ人が新しいことに踏み出す力にもなれば」と話す。