公益財団法人杉本家住宅(京都市中京区)が3月1日、大屋根の葺(ふ)き替えについて記者会見を行った。会見は本来、棟上げの札に残る明治(1870)3年から150年、また財団設立30周年の記念となる昨年に予定されていたが、緊急事態宣言が出されたことで発表ができずにいた。
大屋根の修復について同財団常務理事の杉本節子さんが概要を説明。耐震診断を経て工法などは決定するが、およそ1万5000枚もの瓦を下ろし、使えるものは再び使用するという。部分的に補修は行われて行ってきたが、全面改修はこれが初めてだという。
期間は今年11月から2023年10月までで、総工費は約2億円。そのうち4,000万円は同財団が賄う。昨年は祇園祭に合わせて行う「屏風(びょうぶ)祭」といった年中行事などの公開事業からの収入がほとんど得られなかったという。通常の寄付のほかに、初めてクラウドファンディングにも乗り出す。絵はがきや大屋根葺き替え記念切手シートなどのリターン品を用意し、350万円を目標額に定める。
杉本節子さんは「『杉本家は変わらないね』と言われる。今日から当家に伝わるひな人形の公開を行うが、変わっていく生活の中で、変わらずに日本の文化を伝えられるよう頑張っていきたい」と話す。