「漢検 漢字博物館・図書館」(京都市東山区)で現在、企画展「身近なことばの意外な由来~江戸時代の漢字語~」を開催している。
儒教や仏教に語源を持つ言葉でなく、翻訳語や中国の口語小説などに由来を持つ、身近な日本の言葉を紹介する同展。
展示では翻訳語の例として、オランダ語の「kus(クス)」を訳した「接吻」(日本では「吸口(くちすい)・相呂(くちすう)」が使われた)を紹介。江戸時代に人気を博し、日本でも読まれた中国語の口語小説から生まれた「花魁(おいらん)」、中国語の「土圭(とけい)」に漢字を当てた「時計」などの成り立ちを紹介する。
翻訳語の中には、1774年に刊行された「解体新書」で、オランダ語の「zenuw(ゼニウ)」を、中国語で精神や心を意味する「神」と経路の「経」を組み合わせた「神経」など医学にまつわる言葉が並ぶ。蘭日辞書「和蘭字彙(おらんだじい)」(1855~1858年刊行)にも「神経」の文字が見られるという。
学芸員の田中郁也さんは「解体新書を作る過程で、現在でも使われている多くの言葉が生まれた。世界から新たな知識や技術を学ぶ時、意訳したり、読みを当て字したりとさまざまな工夫で翻訳語が生まれた。今秋予定している明治維新150年をテーマにした展示でも紹介したい」と話す。
開催時間は9時30分~17時。入館料は、大人=800円、大学・高校生=500円、中学・小学生=300円ほか。7月1日まで。