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京都で北欧デザインの第一人者、島崎信さん講演 名作誕生の歴史を紹介

会場には北欧デザインの名作イスも用意された

会場には北欧デザインの名作イスも用意された

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 四条烏丸にあるインテリアショップ「アクタス京都店」(京都市下京区烏丸通四条下る水銀屋町)で9月30日、建築家でデザイナーの島崎信さんのトークイベント「北欧の暮らしと家具と」が行われた。主催は九州産業大学の小泉隆さんを中心とした「北欧展実行委員会」。

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 1958年に日本で最初にデンマーク王立アカデミーでデザインを学び、日本に北欧のデザインや考え方を伝えた第一人者としても知られる島崎信さん。デザインは「色や形ではなく、暮らしを豊かにするものであり、目的を達成する仕組み」だと話す。

 最初に北欧の国は資源が乏しく自然環境も厳しい中にありながら、1990年代以降「幸福度の高さ」、「1人あたりの生産性」が世界でトップレベルに高いことを紹介。

 次に北欧デザインの歴史を紹介。1920年代のデンマークでは『安物の家具』を作っていたが、ドイツ資本によりポーランドやエストニアで安い物が大量に生産されたことをきっかけに、国としてレベルが高く、長持ちするものを生産する方向に転換した。

 1930年以降、デンマーク王立アカデミー家具科の初代教授のコーレクリントを中心に、過去のデザインを真摯に学ぶ「リデザイン」と徹底的な実測に基づき、生活の実態をベースに物をつくるという2つの理念を確立。現在でも使い続けられる製品が生まるようになった歴史を紐解いた。

 会場にはコーレ・クリントの弟子、ボーエ・モーエンセンの「シェーカーズチェア」「Yチェア」やハンス・J・ウェグナーの「ザ チェア」などを用意。デンマークやスウェーデン、ノルウェーなどの代表的なイスとそのデザイナーの物語を紹介。来場者は講演後に座り心地を確かめていた。

 島崎さんは「北欧のこうした製品は『一生物』で終わらず、代々使えるもの。家電や車は売り出しの価値が最も高いが、家具は使い続けることにより新たな美しさが生まれる。染みや傷も生活の歴史。物を選び、買うことは物と『縁を結ぶ』ことだと考え、長く使ってもらいたい」と来場者に呼び掛けた。

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