京都高島屋(下京区四条通河原町西入真町)6階美術画廊で現在、嵐山のニホンザルを描き続ける日本画家・藤井勘介(介は本来、土へんに介)さんの画集「マシラ」刊行記念の個展「藤井勘介展」が開催されている。
藤井さんがサルを書き始めたのは、24年前(1992年)の申(さる)年に向けてサルの姿を描くため、1991年に嵐山モンキーパークいわたやま(西京区)に出掛けたことがきっかけ。野生に近い状態で生きるサルたちの自由な姿に引き込まれたという。
多い時には3日に一度、岩田山に登り、サルの姿を観察して描いた。座ったり寝ころんだ姿を描く藤井さんは、自由なサルたちが動いたり、その場を去ると描くのを中断する。次に山を登った時、巻いた作品を持って行き、同じサルを見つけたら書き足すというスタイルで描くため、途中で紙が破れたり、雨にぬれたりすることもあるが、その度にテープで補強するなどして1枚の絵を完成させるという。
「25年通い詰めると何となくサルと心が通じあったように思うこともある」と藤井さん。サルが藤井さんに近寄って来るのを見て、京都大学の学生に「メスのサルが先生に発情しているのでは」と言われたこともあるという。
今月発売した初の画集「マシラ」(6,264円)は、藤井さんの描いたサルの絵「マシラシリーズ」130点を掲載した。サルの魅力について、藤井さんは「野生の迷いのない単純な姿が美しい。自分もサルたちのように迷いなくシンプルに、絵を描き生きていきたい」と笑顔を見せる。藤井さんによると、初期の作品は写実的なものが多いが、近年の作品はサルそれぞれの特徴をとらえつつシンプルなタッチの品が多くなっているという。
開場時間は10時~20時(最終日は16時まで)。入場無料。2月2日まで。
京都文化博物館5階でも個展「藤井勘介展」を開催している。開催時間は10時~18時(最終日は17時まで)。入場無料。2月3日まで(2月1日休室)。