京都駅(京都市下京区)大階段ステージで4月17日、比叡山延暦寺の僧侶による声明が披露された。来年が同寺開祖の伝教大師最澄の生誕1250年に合わせて行う「悠久の時を旅する世界文化遺産比叡山延暦寺への誘い」の一環
で、京都駅で声明の披露は今回が初となる。
声明(しょうみょう)は、教典の文言などに節をつけて唱える仏教音楽。仏教伝来と共に伝えられたもの。鎌倉時代には体系化され、12の律(音階)と5音が理論として確立された。邦楽や文楽などの声楽理論の基礎になったとされている。
比叡山延暦寺に伝わる「天台声明」は、伝教大師(最澄)や慈覚大師(円仁)が中国から伝えたもので、音の揺らぎ「ユリ」の旋律が特徴的だという。
当日は、声明の解説の後、仏の知恵を讃える「着座讃(ちゃくざさん)」と修行で使う錫杖を用いる「九條錫杖」を披露。最後に、般若心経を唱えるすると、観客も合掌する人の姿も見られた。
「世界の音楽に囲まれて生活しているが、日本独自の音楽の基礎となった声明の旋律に何か感じるものがあれば」と同寺副執行(しぎょう)中山玄童さんは話していた。
京都駅前広場に設けられたブースには、同寺の荒行の一つ「千日回峰業」の衣装の展示や、DVDの上映を行う。期間内は、写経の体験や大阿闍梨による法話も行われる。
イベントは4月19日まで。