京都市内7カ所で3月7日、京都国際現代芸術祭2015「PARASOPHIA(パラソフィア)」が始まる。
国内外40組の現代芸術家の作品を展示する「PARASOPHIAプロジェクト」の一環。「パラソフィア」は、sophia(叡智や学問体系)とpara(別の、逆の、対抗的な)を組み合わせた「向こう側の別の知性」を意味する造語。京都市美術館を軸に、京都文化博物館別館(中京区)、京都芸術センター(同区)、賀茂川と高野川の合流部で通称「鴨川デルタ」と呼ばれる三角州、戦後日本初の店舗付集合住宅で大規模なリノベーションプロジェクトが行われた「堀川団地」(上京区)も会場となる。
メーン会場の京都市美術館では、北京オリンピックの花火演出や、「火薬絵画」などで知られる中国の蔡國強(ツァイ・グオチャン)さんの作品「京都ダ・ヴィンチ」を展示。蔡さんは現在、中国各地の農村で、身近なもので作品を作るよう依頼し、出来上がったロボットや潜水艦、飛行機を集める「農民ダ・ヴィンチ」プロジェクトを進めている。一連の作品は、平安京の手本となった長安の「大雁塔」を模した六角形7段の塔(パゴダ)の周りに人力車をひくロボットや、アクションペインティングをするロボットが動いている。
フランス出身のジャン=リュック・ヴィルムートさんが手掛けた「カフェ・リトル・ボーイ」は、広島の袋町小学校に、被爆者が家族や友人に宛てたメッセージに触発された作品。教室を模した部屋は、壁一面が黒板になっており、来場者はチョークで好きなように文字や絵を書いていく。壁に掛けられた時計は原爆投下の時間で止まっているが、秒針は時間が流れ続けることを示すように動き続けている。
同プロジェクトのアーティスティックディレクターの河本信治さんは「京都は先駆的な芸術家や思想家に対して寛容に支援を行ってきた都市。パラソフィアは、京都がそうした都市であり続けるための取り組み。『祭』でもなく、街づくりとも違ったもの。アーティストが成長したり考えたりすることのできる場所になる第一歩にしたい」と期待を寄せる。
開催時間は会場ごとに異なる。月曜休(3月9日、5月4日を除く。4月27日は京都府京都文化博博物館のみ開館)。5月10日まで。