京都で40年以上営業を続ける喫茶店「前田珈琲」(京都市下京区)の「文博店」(中京区高倉通り三条上る東片町、TEL 075-255-1221)が2月4日、オープンした。
旧日本銀行京都支店の金庫室として使われていた建物(現在は京都文化博物館の別館)を利用する。当時の厚い扉が使われており、現在も閉店後は扉のダイヤルを使って施錠する。店舗面積は約65平方メートルで、席数は30席。同店のコーヒーは全てオリジナルブレンドで、定番の「龍之介」(400円)や自家製の生クリームを使うウインナコーヒー(500円)のほか、軽食メニューや、スイーツを提供する。
据え付けられた背の高いカウンターでは、創業者の前田隆弘さんがコーヒーを入れることも。経営は後任の息子らに任せているが、早朝の本店前の掃除は欠かさず、コーヒーの注文を受けると自ら自転車で配達を行う。
「イノダコーヒ」で修業した前田さんは1971(昭和46)年に独立。「大宮高辻の1号店(現在は閉店)は10坪ほどの小さな店で、初めはエアコンが買えず石油ストーブを使い、食器もそろえることができなかった。それでも、休みなし分刻みで働いてきて、ここまでやってこられた」と振り返る。「40年を超えて『老舗』と呼ばれることもあるが京都ではまだまだ。家にいても店が気になって休まらない。人がやりたがらない小さなことを続けることが大事」とも。
営業時間は10時~19時30分。月曜休館のほか、博物館の休館日に準じる。