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京都で「パウル・クレー展」-作品制作の過程が見える展示に

裏側も見られるよう工夫された展示

裏側も見られるよう工夫された展示

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 京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)で3月12日から、「パウル・クレー展-おわらないアトリエ」が始まる。

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 スイスの画家パウル・クレーの制作工程を明らかにすることを主眼とした同展。日本初公開の作品を含む約170点を展示する。同館の池田裕子主任研究員は「美術館は一般に、できあがったものを展示しているが、絵画に対する体験も多様化している」と指摘。英字のサブタイトル「Art in the Making」が示すように、過程を見せることをコンセプトに据えた。

 例えばクレーは素描の上に黒い油絵の具を塗った紙を置き、その上に白い紙を乗せ、その上から素描の線を針でなぞり転写したものに彩色する「油彩転写」と呼ばれる技法を使っている。その素描も展示するが、それにも個別の番号をふる。「単なる下絵ではなく目的の違う一つの作品」と池田さん。

 本来壁面に飾られ、表しか見ることのない絵だが、クレーの作品は裏面にも文字や絵がある。これを見せるため作品をガラスの中に入れ両面から見えるようにした。「鉛直」という作品では、断片的な線で構成されるが、赤外線を通すと写真で人物が写る。この写真と作品を展示するなどのユニークな工夫も。

 4月30日には「切断の時代-20世紀美術におけるクレーの制作プロセス」と題し、広島大学大学院准教授の河本真理さんによる記念講演会も行われる。

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