京都駅そばのT・ジョイ京都(京都市南区)で11月29日、映画「花戦さ」の舞台あいさつが行われた。
鬼塚忠さんの小説「花いくさ」を原作として全て京都で撮影された同作。初代池坊専好が前田利家邸に豊臣秀吉のお成りに合わせて幅7メートルを超える「大砂物」と呼ばれる立花を生けた史実を題材にして、権力者に対して花を使って「静かに戦う」様子を描いた。監督は映画「山桜」「小川の辺」などを手掛けた篠原哲雄さん。
狂言師の野村萬斎さんが主人公の初代池坊専好、歌舞伎役者の市川猿之助さんが豊臣秀吉、千利休を佐藤浩市さんが、それぞれ演じる。門川大作京都市長も秀吉が開催した大茶会のシーンで登場することも発表された。
舞台あいさつでは篠原監督のほか、池坊専好次期家元、門川市長、映画オリジナルのキャラクター絵師の「れん」を演じた森川葵さん、専好の弟弟子の池坊専武を演じた和田正人さんが登場。「花には人種や身分の違いを超えて一つにしてくれる力があると感じた。映画を通じて皆さんが思う『花の力』を考えてもらえたら」とあいさつ。森川さんも京都滞在中、暗いと感じていたホテルの部屋に花を生けると明るくなったというエピソードを披露。「花は身近にある大きな力のように感じた」と振り返った。
華道池坊は企画から映画に登場する200以上の花の戦国から安土桃山時代の生け花作品の復元・制作を担当。池坊専好次期家元は「作中には、信長が見て、秀吉が心を動かした初代専好の作品が出てくる。そのスケールを楽しんでもらえたら。生け花作品は人の心を動かし、引いては世界を変えるというメッセージが映画で感じられる。多くの人に応援してもらえたら」と呼び掛けた。
門川市長は「佐藤浩市さんが点てたお茶を頂いたが味は覚えていない」と話すものの、篠原監督は「横顔の1カットの予定だったのが、演技が良かったので正面からのカットも撮った。俳優のセンスがある」と高評価。「映画というのはテレビで見ている俳優さんやスタッフの皆さんのチームワークで作られているのがよく分かった。『花の力』と『映画の力』で世界に広げていきたい」と笑顔で話した。
映画は2017年6月3日公開予定。