京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上る、TEL 075-254-7414)で現在、写真展「ノンアートコスプレフォトグラフィ」が行われている。
コスプレは、漫画やアニメ、ゲームのファンが登場人物に扮(ふん)して楽しむことで、各地で撮影会やイベントが行われ、地域の活性化にも期待されるなど裾野も広がりを見せている。衣装・小道具からメーク、ウィッグ、ポージング、背景に至るまで作品の世界を追求することで映画の一場面やポスターのような作品も撮られ専門の書籍も出版されている。
展示は、同名の写真集の出版記念に開催されたもの。静岡・浜松市でスタジオ「Non-Art」を運営するユッーキーさんを含む9人のカメラマンの作品44点を展示する。ユッーキーさんの撮影は、自らを「土木作業員」と語るように、一から作り出すセットで「誰も見たことのない1枚」を追求する。撮りたいものを明確に決めず、同じ人が扮する11人キャラクターを撮った昨年から始めたスタイルの写真も展示する。
ユッーキーさん以外のカメラマンも個性的なメンバーがそろった。Zweitさんの写真は、一見自然豊かな風景写真。雲の向こうに山並みがかすみ、人物は景色の一部に溶け込んでいる。「望遠レンズで別の峰から撮るので、モデルさんからはZweitさんが全く見えない状態だったので、トランシーバーでやり取りしたと聞いている」とユッーキーさん。
「HEBUさんは、本物の廃虚でしか撮らないから『スタジオに遊びに来て』といくら言っても使ってくれない。mitさんもすごく独特で、顔の写っていない写真を撮っている」と紹介。「その人にしか撮れない写真を撮る人ばかり」とも。
一方で、「正直に言うと、うちのスタジオでも似たような写真がすごく多い。彼らの作品に似せるより、自由に撮りたいものを撮ってほしい。コスプレの新たな可能性をちょっと広げる『10人目』になってほしいな」とカメラマンやコスプレーヤーにエールを送る。
「ウェブや書籍の見え方は環境に依存するが、展示は自分たちで照明も調整しているから本来見てほしい写真そのもの。展示ならではの作品もあるので、本で満足せずに足を運んでもらえたら」と呼び掛ける。
開催時間は10時~18時(最終入館は17時30分)。水曜定休。入場無料。3月31日まで。