四条烏丸にある京都シネマ(京都市下京区烏丸通四条下る水銀屋町)で3月22日、映画「父のこころ」の上映が始まる。
同作品は、「日本映画発祥の地」といわれる元・立誠小学校で映画人を育てるプロジェクト「シネマカレッジ京都」の、いわば「卒業製作」。メガホンを取ったのはワークショップで指導も行った立誠小学校出身の谷口正晃監督。主演は、シンガーの大塚まさじさんが務めた。
「時をかける少女」「乱反射」などの青春もので知られる谷口監督が今回テーマにしたのは「家族」。それも、9年前に突然姿を消した「お父はん」が主人公となる。「壊れてしまった関係を取り戻そうとしてもそれは手の届かないところにある。そうした心の痛みに目をそらさずに正直に描きたかった。こうした取り組みだからできた作品」と谷口監督。「冒頭に出てくる自彊室は、よく何か問題があったときに数人が呼び出されて、『やったのは誰だ?』と追求された思い出の場所。立誠小学校の現在の姿を映画の中で記録できたこともよかった」と振り返る。
映画初主演となる大塚さんは、はにかみながらも「見る人によって感情移入する登場人物が違う作品。それぞれの立場を感じながら見ていただけるのでは」と話す。