京都リサーチパーク(京都市中京区中堂寺南町)で8月3日、食育シンポジウム「世界に誇る和の食文化」が行われた。主催は京都府・きょうと食育ネットワークと大阪ガス。
食育の取り組みを紹介する同シンポジウム。政府は昨年3月、ユネスコに対して「和食;日本人の伝統的な食文化」として世界無形文化遺産の登録を申請。今年12月にも可否が判明することになっている。
あいさつに立った山田啓二京都府知事は「子どもがうま味やだしなどの伝統的な味覚を養う機会を奪ってはいけない。環境を整えていきたい」と意気込みを語った。
基調講演では、和食の世界遺産登録にも関わった東京農業大学名誉教授の小泉武夫さんが登壇。世界遺産登録について「99.6%登録されるのでは」と自信を見せる。「和食は、主材と副材で構成され、主材は根茎や菜、大豆と青果、山菜やキノコ、海藻、米などの穀物で和食が成り立ち、腸を活性化して免疫力がつくので健康にとてもいい」と小泉さん。最近明らかになった繊維の力や長寿との関わりなどを沖縄や長野県など各地の例を挙げて紹介し、「和食を次世代に伝えることは食育と直結する」と力説した。
活動事例報告では、宇治茶の魅力を子どもたちに伝える茶農家の下岡久五郎さんが「お茶は喉を潤すのではなく、心を潤すもの」と、その魅力を語ったほか、料理研究家で杉本家住宅保存会の理事杉本節子さんは「最近は、ブログで下処理をしないレシピが掲載されているが、少しの手間であくが抜けて子どもたちも食べられるようになる例をよく体験する」と指摘。さらに、食への感謝の表し方は「あいさつをきちんとすることと、食べているときの姿を整えることを大人がきちんとすることでは」と話した。
隣接する「大阪ガスディリパ京都」では、500円で京都の「たん熊」「菊乃井」などの料理を振る舞う「京の名店ワンコインフェスティバル」も行われ、食券を求めて長い列ができた。