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京都でバレエ漫画特集展-山岸凉子さん「アラベスク」原画など14人の作品展示

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 京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上がる、TEL 075-254-7414)で現在、「バレエ・マンガ~永遠なる美しさ~」が行われている。

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 バレエが日本に入ってきたころの資料や、バレエ漫画の歴史を時代ごとに分けて紹介。山岸凉子さんや高橋真琴さん、有吉京子さんら14人の原画や掲載雑誌などをたどり、今後のバレエ漫画を考える構成になっている。

 「バレエと聞いてイメージするのは白いチュチュにトーシューズでは?このイメージはバレエ漫画の影響が大きい」と話すのは同館学芸員の倉持佳代子さん。戦後間もなく白鳥の湖の公演が行われたことも影響し、「お姫様は高貴な生まれでないといけないが、バレリーナは努力によってなれる」ため雑誌の表紙や漫画、その付録などバレエの作品が数多く発表された。また、敗戦ムードから悲しいトーンや、離れていた母娘が再会する「母恋い」ものが好まれたという。

 そうした流れの中で、衣装の美しさや躍動感を表現するために、漫画のコマの枠からはみ出して大きく描く、いわゆる「ブチ抜き」の手法や、モノローグなど少女漫画の原型となる手法も登場。倉持さん「一押し」作品は、学年誌などに1964(昭和39)年ごろから1974(昭和49)年ごろまで掲載された谷ゆき子さんの作品。主人公はバレエのために滝に打たれ、生き埋めになりかけるなど予想もつかない展開を見せる。「このころから少しずつバレエに『求道的』や『スポ根』の要素が入っていることがわかる」と倉持さん。

 1971(昭和46)年から連載を開始した山岸凉子さんの作品「アラベスク」が転換期となる。憧れよりも身体表現に重きを置き、鋭く緊張感がある作風は、バレエのみならず、ダンスをモチーフにする作家に大きな影響を与えたという。

 1970年年代以降の作品を紹介した「編成期」には、日本人が主人公の有吉京子さんの「SWAN-白鳥-」、仕事とは?プロとは?という問いかけの中で成長していく主人公を描く槇村さとるさんの「Do Da Dancin’」、「りぼん」黄金期を支えた水沢めぐみさんの「トウ・シューズ」など時代を追って紹介。男性誌で長期連載された曽田正人さんの「昴」は、手先や足先がコマの枠からはみ出している点に注目。「こうした表現は、躍動感がより求められる男性誌らしい」と倉持さん。展示の最後には、大人になってから妻の山田芳美さんの影響でバレエを始め、自ら「瀕死(ひんし)の白鳥」を披露した「パタリロ!」作者の魔夜峰央さんや「バレエが創作の源」と話す水野英子さんの作品を紹介する。

 「バレエ漫画は描き尽くされたかと思ったら、新たな表現で進化を続けていて今後も新しい作品が生まれるはず。『途中で閉館時間になってしまった』と話す方もいらっしゃった。時間に余裕を持ってお越しいただきたい。漫画を通じて実際のバレエも鑑賞してもらえたら」と倉持さん。

 期間内は、関連イベントとしてモビール作りのワークショップや、初心者向けのバレエの体験講座、「パタリロ!」作者の魔夜峰央さんと「愛情出演」として妻の山田芳美さんとのトークイベントも開催する。

 開催時間は10時~18時(最終入館は17時30分、8月19日は展示替えのため16時まで)。入場無料(入場料は別途必要)。水曜休館(7月13日~8月19日を除く)。イベント詳細はホームページで確認できる。

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