京都市学校歴史博物館(京都市下京区御幸町仏光寺下る橘町、TEL 075-344-1305)で現在、企画展「学校日々あれこれ」が開催されている。
1935(昭和10)年に建てられた開智小学校を利用した同館。前回行われた下京区の企画展に続き、中京区で閉校した小学校の資料や写真、寄贈された美術品などで振り返る。
京都では1869(明治5)年の学制に先駆けて1872(明治2)年に自治組織、町組(ちょうぐみ)を基礎とした通称「番組小学校」が1年の間に64開校する。「町衆にとって小学校は学区のシンボルとしての思いが強く、例えば備品のピアノは高価であるにもかかわらず、1校が入れると他の学区でも次々と購入したことが分かっている」と同館学芸員の小林昌代さん。
展示では、町衆から寄贈された蒸気を使う器具や、図形を回すことで回転体を理解する器具など当時の授業の内容がうかがうことができるほか、集団疎開で親元を離れる出発式の様子や、昭和34年に撮影された修学旅行列車「きぼう号」の写真などを展示する。
「『立誠』や『生祥』『日彰』『明倫』など7校の番組小学校が統合した高倉小学校(下京区)では、かつての学区を意識させるような取り組みが行われているなど、今でも学区は大切にされている。そうした思いを感じてもらえたら」
併設展では「学校の歴史の中でも特に大きな出来事」という戦時下の学校生活について伝える資料も展示する。中には国会図書館にも新聞博物館にも所蔵されていない「謎の新聞」、「子供の日本」も。「東京裁判や、マッカーサーを英雄として扱う政治的な記事と子どもの作文が同時に掲載されていてとても興味深い資料。展示を通して中高生の方にも正しいことや優等生が時代によって変化していることを理解してもらえるのでは」