上下水道施設及び環境保全・衛生施設の設計・施工・管理を主な事業として展開する、水道機工株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:古川 徹、以下「水道機工」)は京都市上下水道局と連携し、2025年11月6日(木)に、「水道事業の役割と自治体の仕事」をテーマに同志社大学にてキャリア教育授業を開催いたしました。キャリア教育授業では理工学部環境システム工学専攻の学生42名を対象に、京都市上下水道局による水道事業の役割と自治体の取り組みやその重要性の説明、水道機工による災害支援事例の紹介を通じて、災害時における民間企業の役割や可能性について学ぶプログラムを実施しました。

近年、人口減少やインフラの老朽化が進む中、民間企業と自治体の連携は重要性を増しています。当日は、水道インフラを担う京都市上下水道局と水道機工の知見を活かし、水道事業の仕組みや自治体の取り組み、災害時における民間企業の役割について解説しました。インフラ企業の社会的責任と専門技術の活用という観点から、有意義なキャリア教育の場を提供しました。
今後も水道機工は、大学での出張授業を通じて、社会インフラを支える企業としての責任と専門性を発信し、水道業界への理解促進と未来の専門技術者の育成に貢献します。また、これらの活動を通じて災害に強い社会づくりへの貢献を目指してまいります。
【キャリア授業の詳細(一部抜粋)】
■水道事業の仕組みや自治体の取り組み
水道事業には、市民に安心・安全な水を届ける自治体の仕事と、それを支える民間企業の仕事があります。授業では、自治体と民間企業の役割分担、水が届くまでの流れ、各企業が提供するサービスなど、水道事業の全体像を説明しました。実際に京都市上下水道局が管理する水を日常的に使用している学生も多いため、蛇口をひねるまでにどのような仕事が行われているのかを具体的に紹介しました。
■民間企業が災害支援に関わる背景
水インフラを担う企業は「安全な水を届ける」という使命を持っています。災害時の復旧作業は実際にその浄水場や管の施工に携わった民間企業が担う場面が多く、社会的責任を果たす必要があると考えています。専門技術と迅速な対応力を活かして自治体の対応を補完するとともに、極限環境での経験を通じて技術力を強化できることから、災害支援に積極的に取り組んでいます。
■水道機工の災害支援実績
水道機工はこれまで数々の災害支援を行ってきました。東日本大震災では18台の膜ろ過装置を提供し、熊本地震や福島県沖地震では非常災害用造水装置を無償貸与することで、断水や水質悪化へ迅速に対応しました。能登半島地震では、小松市・珠洲市・輪島市に非常災害用造水装置を無償貸与。変化する水質や状況に合わせて膜技術などの水処理技術を組み合わせることで、水源変更や処理の強化といった柔軟な対応を実現し、水処理の課題を解決しました。装置を常備しているため初動が早いことが水道機工の強みです。授業では、発災時に裏側でどのような動きがあったのか、実際に災害支援チームに参加した社員の目線で紹介しました。
■能登半島地震の教訓
能登半島地震では、自治体が民間企業の保有技術を十分に把握できず支援要請が遅れた一方、企業側も独自では動けないというミスマッチが生じました。また、刻々と変化する水質への高度な対応や、専門人材の確保の必要性も明らかになりました。これらの教訓を踏まえ、当社は支援体制の「見える化」を進めるとともに、迅速な人材派遣を可能にする「EWAT」を設立しました。将来的には、業界全体で災害支援体制を構築することを目指しています。

【参加者の声】


■受講した学生
「『2024年の元旦に震災が起こった際、翌日にはすでに水処理装置を現地に提供した』というお話を伺いました。お話を伺う前は、水処理メーカーは水処理をして水道水をつくるだけの会社だと思っていましたが、実際には災害対応など幅広く事業を展開されていることに驚きました。」
「水処理技術を高めることはもちろん重要ですが、緊急時に迅速かつ適切な判断を下し、すぐに行動に移せる実行力も企業には必要だと学びました。」
■担当教員からのコメント
理工学部 環境システム学科 教授 赤尾 聡史 様
実際に業務を担当される方のお話は臨場感があり、分かっているつもり・・・の私も、受講生のように面白く拝聴させて頂きました。日常の当たり前を支えるためにどれほど多くの方々が水道というインフラを守っておられるのか、といったお話は、実際に携われている方から伺うと説得力が違います。小さなことですが、水道管に取り合いがあること、つまりどこからが市の財産でどこからが私有財産であるか、というお話は、一部の学生にとっては初めて聞く話だったようで、個人にもメンテナンスすべき箇所があるという点から水道を自分事に感じたのではないかと思います。民間企業としての震災対応のお話では、「技術力・総合力を向上するチャンスと捉える」とおっしゃっていた点が個人的に強く印象に残りました。飲用水と生活用水の分担、生活用水の必要水量の見積もり、臨機応変な水源地の選定と処理、などなど、災害対応は経験があってこそ可能になるのだと実感いたしました。同様なことは様々な分野にも当てはまります。教育においての災害対応とは、事業継続計画とは、など自分事としても耳の痛いお話として伺っておりました。最後に、同キャリア教育授業を実施して下さいました京都市上下水道局様と水道機工株式会社様に厚く御礼を申し上げます。
【実施概要】
・日時:2025年11月6日(木)9時~10時30分
・場所:同志社大学京田辺キャンパス 知真館3号館(〒610-0321 京都府京田辺市多々羅中垣内7)
・受講対象:同志社大学理工学部在籍の大学生2~4年生 計42名
・キャリア教育授業の内容:
1.水道事業の仕組みや自治体の取り組み
2.水道機工の災害支援実績
3.なぜ民間企業が災害支援に関わるのか
4.自社組織水災害支援チーム「EWAT」及び水道機工の技術力について
【これまでの出張授業の取組】
■東京都立大学
開催日:2025年9月4日(木)
実施場所:A浄水場
テーマ:「浄水場見学で学ぶ水処理プロセスと水処理業界の仕事」
内容:本授業では、受講生の皆様に施工中の浄水場現場を訪問いただき、講義で学ばれた水処理プロセスが実際にどのように実現されているかを、実物の設備を通じて体験的に理解していただきました。
現場見学では、一連の水処理工程を確認いただくとともに、施工中ならではの視点として、完成後には見ることのできない構造物の基礎部分もご覧いただきました。施工の詳細についても確認いただくことで、理論と実装の関係性についても具体的にご理解いただけたものと考えております。
また、水処理プラントメーカーの技術者や現場監督から、実際の業務内容、仕事のやりがい、キャリアパスについて直接お話しする機会を設け、将来の進路選択における具体的なイメージ形成につながることを期待いたしました。
■東京農工大学
開催日:2025年6月26日(木)
実施場所:東京農工大学キャンパス
テーマ:「機械工学が支える水処理の世界」
内容:機械工学を学ぶ学生の皆さんに向けて、一見分野違いと思われがちな水処理業界を機械工学的な視点から紹介しました。大学で学んでいる流体力学、熱力学、材料工学などの知識が、実は人々の生活を支える水処理の現場で大いに活かされていることをお伝えしています。
本授業では、機械工学出身の現役社員が登壇し、水処理プラントの設計や水処理装置の開発・設計・改良改善など実務内容を具体的に紹介しました。また、学会での研究発表事例を通じて、水処理業界における技術革新の最前線や、機械工学の専門性を活かしたキャリアの可能性についても詳しくご説明しました。社会インフラを支えるやりがいと、技術者としての成長を実感できる水処理業界ならではの魅力をお届けする内容となっています。
【EWATとは】

「EWAT(イーワット)」は、水処理事業本部長を総責任者、プラント建設部長をEWAT隊長として5つの部署からなる組織です。災害時の指揮命令系統が確立されたことにより、支援可否の検討から派遣する社員の選出、機器手配が迅速になり、早期に現地での支援開始が可能になります。自治体からの要請に応じて各部署より、機械設計、電気設計、オペレーション、水質など各分野に知見を持つ社員を選出。
様々な状況に応じて、フレキシブルに支援をする事が可能な体制を整えました。
神奈川県にあるプロダクトエンジニアリングセンターにていつでも災害支援として使用できるよう整備し、とくに「スイオー セイフティU」7台は、EWAT専用機材として常備いたします。災害発生時に在庫の製品を活用するだけでなく、専用機材を常備することで、迅速に支援を行います。
指揮命令系統の確立と、専用の非常災害用造水装置の常備により、短期間で当社独自の造水装置を搭載した専用車両にて被災地へ入り、迅速に災害支援活動を開始します。
2011年の東日本大震災をはじめ、2024年の能登半島地震では小松市・輪島市・珠洲市に非常災害用造水装置を無償貸与するなど、国内での自然災害や地震の被害を受けた地域において、支援活動を行ってきました。
【水道機工株式会社とは】
「100年先も人と地球をつなぐ情熱で、笑顔あふれる環境を技術と製品で創造し、社会に貢献します。」
創業(1924年)以来約100年間、人類と地球環境に欠かすことが出来ない水に関わる事業を展開しています。
■ 会社名 水道機工株式会社
■ 創 業 1924年8月
■ 創 立 1936年1月
■ 資本金 19億4,700万円
■ 社員数 918名(2025年3月31日現在・連結)
■ 代表者 代表取締役社長 古川 徹
■ 本 社 〒156-0054 東京都世田谷区桜丘5-48-16
Tel. 03-3426-2131(代表) Fax. 03-3427-3388
URL https://www.suiki.co.jp