センサー情報の社会利用のためのコンテンツ化に取り組む「センシングWebプロジェクト」は7月31日、新風館(京都市中京区烏丸通姉小路下ル)で実証実験の開始にあたりオープニングイベント「体感しよう!あいあいネット」を開催した。
同プロジェクトは街中に設置されているマイクやカメラなどのさまざまなセンサー情報を、プライバシーを保護しながら公開・利用する方法について文部科学省の支援を受け研究を行っている。参画機関は京都大学、和歌山大学、大阪大学、筑波大学、九州大学、豊橋技術科学、名古屋大学、京都産業大学などで、社会学者や法律家とも協力したプロジェクト。
実証実験では、公共の施設である新風館を利用し、開発した技術の性能評価や実社会における有効性を評価する。同館に設置したセンサーで来館者の実時間位置などのデータを集め、「プライバシー情報を削除した形でデータを出力する『安心センサ』を提案し、便利で面白いアプリケーションが実現できることを示したい。一般を対象に意見調査を行い、実現可能性を探りたい」と同プロジェクトの満上さん(京都大学 学術情報メディアセンター美濃導彦研究室)。
当日は、谷口キヨコさんをナビゲータに迎えトークイベントを開催。大型モニターでの映像紹介や京都大学の研究する「変身カメラ」のデモを実施。谷口さんの「へ~んしん!」という合図で、通常のカメラ映像からプライバシー処理が施された「変身カメラ」への切り替わりを披露。一般にも分かりやすくプロジェクトの内容を紹介した。当日は、学生や、平日の昼休みという時間もあり会社員の姿も多く見られた。
トークショーでは、「監視カメラといわれると負のイメージがある」という谷口さんのコメントに対し、同プロジェクトの美濃教授は「自分の目が街中にあるというような『みんなのカメラ』というイメージ。プライバシーという情報を除き、どのように有効に使えるかがポイント」と話した。
同館佐々木伸也副館長は「最初はやはりネガティブなイメージがあったが、この技術はすごい。プライバシーを守りながら、館内の回遊性や性別・年齢の情報といったマーケティングデータがそろう。施設にとってはメリットしかないのでは」と話す。
同館2階にはプロジェクトの展示スペースを開設。センサーのデータを閲覧できるウェブサイトや、プロジェクトについて声と身ぶりで説明するロボット「Phyno(フィノ)」などを展示している。
「こうした施設のほか観光地にも適用できる。今回の実証実験で得られた評価をもとに、次の構想を考えていきたい」と美濃教授。実証実験は12月まで行われる予定。