稲盛財団(京都市下京区烏丸通四条下ル)は6月20日、第24回目となる「京都賞」の受賞者発表記者会見を行った。
京都賞は、「科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した方々の功績を讃える国際賞」(同財団)。1985年に設立され、「先端技術部門」「基礎科学部門」「思想・芸術部門」の3分野から受賞者が決定される。第24回目となる今年度の受賞者は次の通り。
先端技術部門(授賞対象分野=情報科学)=「計算複雑さの理論の発展への根幹的貢献」によりコンピュータ科学者のリチャード・カープ博士(カリフォルニア大学バークレー校)。基礎科学部門(授賞対象分野=生命科学)=「シグナル伝達機構におけるアダプター概念の提唱と実証」により分子生物学者のアンソニー・ポーソン博士(マウントサイナイ病院)。思想・芸術部門(授賞対象分野=思想・倫理)=「多様な文化の共存を目指す社会哲学の構築」により哲学者のチャールズ・テイラー博士(マギル大学名誉教授)。
記者会見では、映像で受賞者のコメントが紹介された。「(受賞は)計算機科学の分野が評価されたものと受け止める。日米の若い人たちが科学の道を志すよう励ましていければ」(カープ博士)、「数多くの優れた科学者、芸術家に贈られてきた京都賞の一人に加えていただけるのは特別の感慨。細胞生物学の仕事を認めていただき光栄」(ポーソン博士)、「科学と精神への敬意とその促進だけでなく、人類の融和に資するものでなければならないという京都賞にこめられた理念に深く感銘を受けた。非常に名誉であり心から感謝したい」(テイラー氏)と、それぞれコメントを寄せた。
授賞式は11月10日、京都国際会館(左京区宝ヶ池)で行われる。