京友禅の技法を用いたアロハシャツやカットソーを製造販売する「パゴン」(亀田富染工場)の三条店(京都市中京区富小路東入中之町)で現在、「アマビエ」のパネルが掲げられている。
アマビエは光り輝く半人半魚の妖怪。海から現れて自らの自身の姿を描き写して人々に見せるよう告げ、姿を消したといわれている。現在SNSを中心にさまざまな人がアマビエの姿を描く「アマビエチャレンジ」が流行している。
パネルは幅90センチ、縦180センチ。アマビエが海から現れたことにちなみ足元には「渦と立波(たつなみ)」柄、アマビエのうろこには長寿や不老不死を願う菊青海波(せいがいは)をあしらった。夜にフラッシュをたいて撮影すると反射箔(はく)が光る仕掛けも施した。アマビエや柄の説明も添えている。
同店でも売り上げが3月には昨年の3割程度に落ち込むなど新型コロナウイルスの影響を受ける中、絹の生地を使ったマスクキットの進呈などを実施。ウェブ担当の亀田弥生さんが会長の亀田和明さんにアマビエについて話していた際に職人の安田光さんが居合わせたことで「それならやってみよう」と話が進んだという。
デザインと製作を担当した安田さんは「アマビエをどう描くか、どの柄を使うかで悩んだ。向きの異なる2つの柄を一つの中に入れることは普段はしないことなので難しかった。早く事態が収束すれば」と話す。
SNS担当の亀田弥生さんは「妖怪の怖さを残しつつ、和柄できれいだなと思ってもらえたら。おかげさまで反響もたくさんいただいている。今は新作デザインの製作現場の動画撮影など、終息した後の企画の準備を進めている」と前向きな様子だった。
パネルは終息後しばらく展示する予定。同店は12日まで休業するがガラス越しに見ることができる。