京都市内を中心に運行する都タクシー(京都市南区上鳥羽塔ノ本、TEL 075-671-6101)が3月21日、運転手からの声掛けを控える「サイレンス車両」の試験運行を開始した。
客との会話について以前は運転手に任せていたが、近年「客は運転手の話を喜んでいるとは限らない」と指導してきた同社。ネットの掲示板などを見ても「うるさい」「バブル時代の話はいらない」「景気が悪いなどネガティブな話は嫌」といった否定的な意見が多かったことを受け、「話し掛けないこと」を売りにできないかと企画したという。
「サイレンス車両」はヘッドレスト裏に静かな車内環境を提供する試みである旨を表示。運転手は希望者の中から、少ない会話でもきちんと対応ができるコミュニケーション能力が高い20~60代の10人が担当している。
同車両では、通常のあいさつや行き先、通りたい道などのリクエストなどを除き、運転手から話し掛けることはしない。過去にこうした事例は無く、全国初の取り組みになるという。取り組みについてや、乗車した感想について、同社ホームページから意見を募集する。
運用開始前には、運転手側から「かえって愛想がないと受け止められるのでは」という意見もあったが、運行を始めると客から「これも時代の流れ」「運転手に気を遣わなくてもいい」「寝たいのでこれでいい」という声が寄せられたという。
営業部運行管理部の網島透さんは「運転手のおしゃべりがありかなしか、議論していただいて、タクシーの文化をお客さまと一緒につくっていくきっかけにしたい。好評であれば、期間や台数を増やすなどしていき、他社にもまねしていただいて定番化していきたい」と話している。