京都国立博物館(京都市東山区茶屋町、TEL 075-525-2473)で4月12日、約1500年前にインドから中国に、そして日本にも伝わった禅宗の名品を集めた展覧会「禅-心をかたちに-」が始まった。
中国の唐の時代の高僧・臨済義玄(りんざいぎげん)により中国で広まり、鎌倉時代に日本にもたらされた禅の教え。今年は、臨済義玄の1150年の遠諱(おんき)であり、江戸時代中期の日本の高僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)の250年の遠諱でもある年にあたり法要が行われる。展示はこれを記念し、全国に伝わる頂相(ちんそう・ちんぞう=禅僧の肖像画)や墨跡、絵画や工芸など国宝19点、重要文化財104点を含む全224点を展示する。
言葉や文字によらず座禅や公案(いわゆる禅問答)などの修業を通じて釈迦(しゃか)の悟りを得ることを重んじる禅宗の寺院には、理想の修行者の姿として敬う羅漢、庫裏(くり)を守る韋駄天(いだてん)、浴室の守護神の跋陀婆羅(ばっだばら)などが祭られており、言葉にできない「心をかたちに」している。こうした仏像や仏画の展示と、インドから達磨(だるま)大師により中国に伝えられた禅が禅宗として成立するまでの流れや、日本での展開を時代ごとに展開。喫茶などの文化的な側面にも着目した展示室も設けられた。
見どころの一つは、大分県の見星寺で新たに見つかった白隠の禅画「彗可断臂図(えかだんぴず)」。達磨大師に弟子入りを願う彗可が左腕を切り落として自らの覚悟を示す逸話を元にした禅画。左腕が切り落とされた後の場面が描かれることが多いのに対し、同作は彗可が刀を構え、腕を切り落とす直前の様子を描いており他に類を見ない。5月1日までの展示となる。
当日は、全国の臨済宗と黄檗宗の15本山の僧侶が参加し、静岡県の方広寺の宝冠釈迦如と文殊菩薩、普賢菩薩の座像を前に特別法要を行った。
開館時間は9時30分~18時(金曜は20時まで・入館は閉館30分前まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は開館し翌火曜休館)。観覧料は一般1,500円ほか。5月22日まで(会期中展示替えあり。前期=4月13日~5月1日、後期=5月3日~22日)。