コンテンツ支援施設Cross Kyoto(京都市中京区)で10月31日、クラウドファンディングサービス事業を手掛ける4社の担当者によるセミナー「クラウドファンディング活用法!」が行われた。
オープン前の店に500人の会員を獲得した「リターン」の仕掛け
ウェブ上で少額から応募でき、多数の人から資金調達できると注目の「クラウドファンディング」(=CF)。実行者は、支援額に応じた「リターン」を用意し、設定期間内の目標額獲得を目指す。掲載料が不要で、期間終了後に達成額から手数料を割り引かれるため、初期投資が無くても資金調達ができる仕組みとなっている。
最初に演台に立ったのは、サイバーエージェントの「Makuake(マクアケ)」を運営する坊垣佳奈さん。オープン前の馬肉専門店が、1回の飲食代金が1年間は定額になる「会員権」をリターンに設定したところ、500人以上の支援者が集まり、終了日を待たず募集を締め切った事例を紹介。同社の運営する「アメーバブログ」などとの連携で、サービスや商品を提供する前からファンを獲得できるプロモーションにもなると紹介した。
地域に特化し、全国28都市に展開する「FAAVO(ファーボ)」からは、FAAVO大阪の川辺友之さんが登場。本業の紳士服で「真田幸村スーツ」プロジェクトを達成した事例を紹介。「ウェブサービスといっても最後は人。セミナーなどで『スーツは現代の甲冑』とカブトをかぶって協力を呼びかけた」と振り返る。「目標を高く設定しすぎないことで、77.3パーセントもの成功してきた。地域、特に大阪のノリとクラウドファンディングは相性がいい」と太鼓判を押す。
海外に向けた100万円以上を目標としたプロジェクトを専門に扱う「COUNT DOWN」を運営するALEX社の浜田淳子さんは、浪曲師の春野恵子さんのニューヨーク公演や電気自動車最高峰のレース「フォーミュラE」への参戦の事例を紹介。資金調達に留まらず、「助っ人」による現地での支援ができることも強調した。同社が運営するEC事業との連携も可能で、日本の良いサービスや商品を一緒に海外に紹介していきたいと意気込みを語った。
最後に、クラウドファンディングセミナーを通じて中小企業などに積極的に活用を呼びかける「キッカケ」を運営するNPO法人チュラキューブの吉田聡さんが登場。クラウドファンディングは、プロジェクトが世の中に必要なのか問うことのできる「実践型カリキュラム」だと力説した。
「公開することでアイデアがまねされてしまうと懸念を持つ方もいるが、私はむしろやりましょうと言っている」と坊垣さん。「100人が同じアイデアを思いついても、行動するのは10人、その中で成功するのは1人。たとえまねされたとしても、プロジェクトページは残るので、『私はこの時点で構想を持っていた』という証明にもなる。挑戦するきっかけにしてもらいたい」と結んだ。
イベント終了後は、アイデアや商品を持つ参加者と講演者の交流会が行われサービスの親和性や、ビジネス化の可能性を計ろうと熱い意見交換が行われた。