キャンパスプラザ京都(京都市下京区西洞院通塩小路下ル)で5月28日、「図書館政策フォーラム 図書館で電子書籍を使いこなす-知の拡大再生産に向けて」が行われた。
今年11月から横浜で行われる「図書館総合展」の関連企画である同フォーラム。関東以外での開催はこれが初となる。当日、図書館関係者、出版関係者など約300人が集まった。
国立国会図書館の長尾真館長が基調講演を行った。その中で電子書籍について、グーテンベルクの印刷革命と比べ「抜本的に違う、新しい革命が起こりつつある」と評価。日本の電子出版は、流通のためのプラットフォームが「囲い込み」を進める方向にあることを指摘。今後国立国会図書館が全ての出版物の電子版を持つことから、出版社が独自にデジタルアーカイブを持つことなく同図書館のデータをクラウドのように利用し、電子書籍販売を行うことができる可能性も示した。
併せて、東日本大震災後の各自治体のウェブサイトをアーカイブする国立国会図書館の取り組みを紹介。「震災に関するあらゆる記録は公的な資産であり、誰でもが利用できるようにすべきと提唱し、働きかけを行っている。震災のアーカイブは将来的に世界中で利用されるのでは」とも。
その後、コーディネーターの湯浅俊彦立命館大学准教授、川瀬真横浜国立大学教授、国立国会図書館関西館の大場利康さん、同志社大学企画部の井上真琴さんによりパネルディスカッションが行われた。