地下鉄「京都市役所前駅」の改札口横で1月12日、ライブパフォーマンス「無音ストリート」が行われた。
電子ピアノを弾いているのに音が聞こえない同ライブ。近くに置かれたヘッドホンを付けると歳森彰さんが演奏する軽快なジャズピアノが聞こえる。ピアノの音をヘッドホンに飛ばしているため周囲に音はなく、はた目には演奏する歳森さんの姿だけ見える仕組みだ。
1年ほど前から「無音ストリート」を始めた歳森さん。「デジタル技術によって、音楽といえば『再生装置から流れるもの』になっている。それを逆手にとって音を消してしまい『演奏行為』に注目してもらえたらと思っている」。音がしないことで逆に「どんな音なのか、妄想してもらうこともできる」とも。
歳森さんは演奏の場が変化してきているとも指摘する。「例えばライブハウス。不特定多数の人に向けてというより、内輪で行うものになっている。そうした中で、よりオープンな演奏の場を作りたい」と話す。
通りかかる人の反応は、素通りする人、音楽に乗ってくれる人、話しかけてくれる人などさまざま。歳森さんはそれを「レポート」としてブログにつづっている。今回演奏した場所については、「人が多い分、ストリート慣れしていなければきつい場所」だという。「人が立ち止まってくれない時にも『音楽の神様に聞いてもらっている』というつもりで楽しく演奏したい」