京都を中心に活動する劇団・烏丸ストロークロックは3月5日から、アトリエ劇研(京都市左京区下鴨塚本町)で公演「八月、鳩は還るか」を行う。
同劇団は1999年、劇作・演出を手掛ける柳沼昭徳さんを中心とするメンバーによって設立された。「演劇(舞台)でしか表現できない作品」「世代・趣味趣向を超えて心に訴えかける作品」をポリシーに掲げ、一つのコンセプトや題材に対し、中長期的にさまざまな角度からのアプローチを試みた連作を発表する活動形態をとっている。
客層は20~30代が中心。同公演・担当者の本郷麻衣さんは「烏丸ストロークロックの作品に登場する人々には、個々の人生を感じることができる。それが、舞台が非日常でありながらも生々しさをもって観客に何かを訴えることにつながっているのでは」と話す。
同作は、2005年、上演時間わずか15分の「メモ」と題した無言劇から始まった同劇団の「漂泊の家」シリーズ最終章となる。「漂泊の家」は、家族を求めさまよい続ける男性「岡田ケン」の半生を描いた物語。同作では、これまでのエピソードの再構成を織り交ぜながら、漂泊し続けた「ケン」の「一つの終わり」を描く。同劇団のメンバーである阪本麻紀さん・片山奈津子さんに加え、「ニットキャップシアター」など他劇団からの参加を含め総勢18人のキャストが出演し、10日間にわたる上演で、同劇団としては過去最大規模となる。
同劇団の柳沼さんは「『家』『家族』というテーマでじっくりと作品を作ってきた。『理想の家族とは?』といった正解を探すことはせず、血縁関係を結んでいない人々が利害関係や年齢・性別を超えて互いを認識し、愛を交わし合うことはできるのではないか、という希望をもって作品を紡いできた。これは演劇を通じて観客の皆さんと私たちとの間でなされる言葉なき交流をもっと深めたいという思いと強くリンクする」と話す。「コミュニケーションを交わす方法は日々手軽に、また次々と生まれてくるが、文字や映像といった情報の交流とは違う、感覚的で温度のある交流が今後重要視されてくると感じる。それを実感できる場の一つとして演劇があり、『漂泊の家』を通じて体感していただければ」とも。
開演時間は、3月5日・8日・9日・11日・12日=18時、同6日・7日・13日=13時・18時、同14日=13時。チケット料金は、一般前売り=2,500円・当日=2,900円、学生前売り=2,000円・当日=2,500円。