稲盛財団(京都市下京区)は6月8日、第23回目となる「京都賞」の受賞者発表記者会見を行った。
「京都賞は、科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した方々の功績を讃える国際賞」(同財団)。1985年に設立され、「先端技術部門」「基礎科学部門」「思想・芸術部門」の3分野から受賞者が決定される。第23回目となる今年度の受賞者は次の通り。
先端技術部門(授賞対象分野=材料科学)は、化学者の井口洋夫博士(東京大学名誉教授・自然科学研究機構分子科学研究所名誉教授)。「有機分子エレクトロ二クスの発展に貢献した」という博士の基礎研究は、携帯端末や薄型テレビのディスプレーなどへの応用が期待されている。
基礎科学部門(授賞対象分野=地球科学・宇宙科学)は、地球物理学者の金森博雄博士(カリフォルニア工科大学名誉教授)。「地震の物理過程の解明と災害軽減への応用」により贈賞された。博士は、研究知見を地震災害軽減に役立てる方法を提唱し実践している。
思想・芸術部門(授賞対象分野=映画・演劇)は、ヴッパタール舞踊団の振付家・芸術監督でドイツを拠点に活動するピナ・バウシュ氏。モダンダンスの身体表現と演劇手法を取り入れ、独自の総合舞台芸術「タンツテアター(ダンス・シアター)」を確立したことが評価された。
記者会見では、インタビュー映像を交え3人の紹介も行われた。井口博士は「(受賞は)夢のよう。実感が湧かず考えてもみなかった」、金森博士は「地震災害の軽減を目指した取り組みが評価されたのであれば光栄に思う」、バウシュ氏は「単純に喜ぶだけでは済まされず、さらに新たに仕事をしなければという責任を強く感じる」と、それぞれ感想を披露した。授賞式は11月10日、京都国際会館(左京区宝ヶ池)で行われる。