京都の地下街で「高次脳機能障害」啓発イベント 語呂合わせで麹商品販売も

イベントの様子

イベントの様子

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 京都市役所前の地下街「ゼスト御池」(京都市中京区)で2月10日、「こうじの世界 高次脳機能障害×麹」が行われた。主催は京都市高次脳機能障害者支援センター。

佐々木酒造の「白の銀明水」の配布には長い列ができた

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 「高次脳機能障害」は、病気や事故などで脳に損傷を受けたことで、記憶力や注意力の低下や、段取りよく物事を進めることができなくなったり、感情や行動が以前と変わったりして、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指す。人により症状はさまざまだが、脳の損傷は見えにくいため「見えない障がい」ともいわれる。

 初開催となった同イベントでは、幅広い年齢層に理解を広げるため、高次脳機能障害の「高次」と「麹(こうじ)」を語呂合わせでかけ、佐々木酒造、菱六、小川珈琲などが参加し、菱六と京都市産業研究所と共同で開発した「麹パウダー」や、麹パウダーを使ったクッキー「糀乃菓(このか)」などを販売した。

 イベントでは、交通事故で高次脳機能障害を負った藤田彩子さんが登壇し、自らの経験を話した。藤田さんは「味やにおいが分からなくなったほか、職場復帰しても自宅から近くの職場に迷ってしまうためタクシーで行き来した。うつになり、何もする気が起きず、1年間引きこもった。思うように行動できないことを友人に相談しても『みんな一緒やで』とあしらわれ悲しい思いをした」と振り返る。

 藤田さんは事故から10年が経過した現在、リハビリで通った事業所で職員として働き、高次脳機能障害のある人を支援している。「同じ障がいのある者として、居場所が無くてしんどい思いをしているのが分かるので、私だからできる支援をしたい。これからも障がいとうまく付き合っていきたい」と意欲を見せる。

 京都市高次脳機能障害者支援センター・支援係長の櫻井直子さんは「高次脳機能障害は誰にでも起こりうるもの。長期間掛けて脳に刺激を与えることで、元通りとはいかずともじわじわとよくなることもある。専門の相談窓口があることも知ってほしい」と話す。

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