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京都刑務所と京都女子大が包括連携 学生から木工製品アイデア提供など

協定書を交換する林忠行学長と山本孝志刑務所長

協定書を交換する林忠行学長と山本孝志刑務所長

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 京都女子大学(京都市東山区)で10月5日、同大と京都刑務所の包括連携の協定書の交換式が行われた。

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 同大では2010年の創立100周年(創始111年)を期とした取り組みの一つに、地域連携の強化を図る。昨年10月に地域連携研究センターを開設した。全国的にも刑務所で課題となっている社会との関わりを大学としてつくることを主眼とし、人的資源や人材、知識や情報などの資源を活用して相互利用することを目的に今年7月27日に包括連携協定を締結した。

 5月には先行的な取り組みとして、刑務官を対象として音楽教育学専攻のガハプカ奈美教授が、常時緊張が強いられる刑務業務の中で活用できる「自己をコントロールするための呼吸法」の講習を実施。従来から外部講師を招くことはあったが、これまでなかった体験を交えた実践的な取り組みが好評を得たという。講座を通じ、刑務官の士気が上がり、それが受刑者にも伝わって、いい循環が生まれているという。

 逆に刑務官が同大で講義を行うほか、同刑務所内で作られる木工製品(おもちゃ)のアイデアを提供。「社会から見放されていない」と受刑者が感じることでモチベーションを高く保つことができるという。10月22日・23日に行われる同所で行われる矯正展で、発達教育学部児童学科の矢野真教授のゼミ生が参加し、工作に関するワークショップを行う。同所処遇部作業部門主席矯正処遇官で法務事務官の植田一彦さんは「受刑者にはとてもいい腕のいい人がおり、機材も良いものがそろっているが、専門家ではない私たちが製品を考えている。学生さんには遊び心と安全性を備えたアイデアをいただければ」と話す。

 同センターの竹安栄子さんは「刑務所の高齢化といった現状を聞かせていただき、大学としてできることが無いかと見学に行ったところ、本学にできることがさまざまな形で出てきた。出所しても行き場がなく再犯を重ねる人が多いというとても難しい問題に対し、答えがすぐに出せるものではないが、学生にはまず現実を知り、多様な人々と共に生きる社会にしていけばいいか考えてほしい」と期待を込める。

 山本孝志刑務所長は「受刑者を返すところは社会。社会に理解してもらうことが社会との連携していかなければならない。社会にもそれを見ていただきたい」と話す。

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